「初心忘るべからず」
時々ビジネス向けの記事でも世阿弥の記した言葉として取り上げられることがありますね。
世阿弥の『花鏡』によれば、3種類の「初心」があるそうです。
まず、
「ぜひ初心忘るべからず」
私の勝手な解釈では、端的に言って、若い頃にかいた恥を忘れるなという意味合いだと思います。
「時々の初心忘るべからず」
経験を積んで行く過程で、その時々の心構えとして求められる初心を持っていなさいということだと思います。
「老後の初心忘るべからず」
相当な積み重ねを経ても、慢心することなく飽くことなく学び続けなさいという意味だと思います。
要は、死ぬまでずっと初心であれということかなと。折々に初心というもの自体が移り変わっていくけれども、人生という長いスパンで観ても、毎瞬毎瞬を区切って観ても、常に初心は存在するし、それを捉えつづけなければ、道を行くこと自体が覚束ないですよ。ということなのだろうと思います。
何事も常に初めての事として臨むということは、今も初めてだし、次も初めてであることですが、それはそのまま、今が最後で次も最後だということです。
始まりがあるのならば、終わりが来るわけですから、「初めて」を始めたら、次回までにその「初めて」が終わってないと、次が新たな「初めて」になりません。
常に最初で最後だということですね。
お茶の世界で「一期一会」というのも同じ精神なのではないかと思います。
このような短い言葉の中に、芸事の研鑽みならず、日々の生活を豊かに送る原理原則が息づいているように私は感じます。
会社勤務の方が毎日出勤して仕事をすることも、当たり前のようにする食事や読書や家族との挨拶も、全てが最初で最後だと思ったら、日常の立居振舞がまったく変わったものになるのではないでしょうか。
殊、日々の学びや仕事については、最初だと思ってインプットし、最後だと思ってアウトプットする。こういった心構えこそが自らを磨いてくれるのだと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
あなたに素敵な人生のひとときが訪れますように♪