人間は色んなものによく酔う動物である。
酒に酔い、金に酔い、権力に酔い、名誉に酔い、物に酔い、宗教に酔う。
酒はアルコールが抜ければ翌日にも酔いからさめるが、あとの残りはさめるどころか、酔ってることすら当人に自覚がない。
まあ、酒もほどほどなら“百薬の長”だし、他の物も、そこそこならば楽しい酔いとなる。
だがいずれも度が過ぎ○○中毒、○○狂と呼ばれるあたりから、話はコロッとかわってくる。
楽しいはずのひと時は、往々にして苦しみや悩みの日々となり、いつの間にか周囲の親しい人たちとも、争いや喧嘩が絶えなくなる。
何故か・・・・・。
これらの人にはいずれも共通項が見受けられる。
それも一番始末に困るもの。
それは、あらゆるものに酔っている以上に、自分自身に酔っているということである。
自分に酔うと、実にまわりが早い。
すぐ足にくる。
フラフラフラフラ、夢心地。
まわりの辛言、聞く耳持たず、類は類を呼んで同じヨッパライが集まると、誰もが自分が酔っているなんて爪の先ほども思わなくなる。
たいがい行きつくとこまで突っ走り、己の人生を嘆くことしきり。
- 手当たり次第にチャンポンして前後不覚に悪酔いし、おのが失態ごまかすためにまわり中アタリ散らす人。
- 熱しやすく冷めやすい性格が功を奏してか、千鳥足で上手に落とし穴をかいくぐっては、自分は特別だと舞い上がってる人。
- 自分が酔ってるくせに人の酔ってるのばかりが目について、人に説教したがる酔狂な人。
- 落ちるところまで落ちても、何が何だかわからずに、ひたすらオキツネ様や占いに頼ろうとする人。
- 何度も痛いめにあって、ようやく酔ってることに気づきはじめた人。
あなたがどれかはわかりませんが、13,000年続いた長い宴は、もうまもなくお開きとなる。
あなたが酔って浮かれた間にためたツケは、神のツケウマによってキッチリと管理され、どこに河岸を変えようとも逃れることなどできません。
どうです、そろそろ酔いからさめそうですか。
それとも、ええいヤケ酒とでもいきますか。