蟷螂の岩屋
朝4時集合で水行。
先達の和田さんは、365日欠かすことなく毎朝勤行しているそうな。。。
真夏にも関わらず、水はかなり冷たく、長く入っていると歯の根が合わなくなる。
幸いにも蛭などに喰われることはなかった。
月明かりが優しく修行の無事を祈ってくれているかのようだった。
山先達
更谷さんから色々とお話を伺った。
既にして失われてしまった伝承も数多くあるとのこと。
前鬼では彼しか受け継いでいない行場や修行法があるらしい。
山先達は、皆鬼の子孫だそうな。
彼らなくしては、山での修行はできない。
ガイドなしで挑んでも文字通り死ぬだけだと思う。
1300年の伝統を受け継いでくださっているありがたい存在。
女人結界門
今以て女人禁制を守ってくださっているのは極めてありがたいことだ。
男子にとって、修行の場に女性がいることは非常によくない。
行場では自分の前を行く人のケツが目の前といった状況もままある。
注意散漫だと命を落としかねない場所が多々あるのだ。
これからも女人禁制は守っていただきたい。
山念仏
「懺悔懺悔 六根清浄」を繰り返す。
時々「お山は晴天 南無神変大菩薩」といったフレーズも混じる。
山先達曰く、登り始めの最初の10分が一番キツイとのこと。
ここでデトックスをするのだそうだ。
日頃、悲しいことがあっても感動することがあっても泣くことなどない私だが、不思議と山念仏を肚から唱えていたら泣けてきた。
まさに懺悔。
後から振り返って、過去の自分との訣別をしに来たのだとわかった。
茶屋
平日故か、どこも営業はしていなかった。
椅子と屋根があるだけでもありがたい。
お助け水
あまり飲まない方が良いらしい。
飲むなら、水面の上の方をすくってどうぞとのこと。
1口飲んだが結果オーライ。
地の氣を取り入れよう。
油こぼし
それなりの急坂。
きちんと整備されているから登れるが、足場が自然のままだったら登るのは困難であろう。
ここが油こぼしという場所だと言われないと気づかないかも。
鐘掛岩
静岡の長福寺から飛んできた鐘が、この岩に掛かっていたことが名の由来だそうな。
山先達曰く、この岩を登るのは、自分への信頼を醸成することが目的。
ここで負傷した人が少なくないだろうことは容易に想像がつく。
岩の上で、講中の面々と東(伊勢、富士の方向)に向かって国旗を掲げ、君が代斉唱。
なぜか泣けてきた。
天皇陛下万歳は、神武天皇を想いつつ。
明治天皇以降はあっち側の人間だから、漫才にもならん。
岩を下りたところにある、名もなきお地蔵さん。
彼らの手引でご先祖様が降りてこれることになっているそうな。
掌を上に向けると、温かく感じる。
下に向けると何も感じない。
陽が当たらないようにしても温かく感じるから不思議だ。
これがご先祖様が出迎えてくれているサインらしい。
お亀石
見えている部分は亀の頭だそうな。
尻尾が熊野に出ているとのこと。
つまりは、紀伊半島の半分近くが巨大な石座ということか。
等覚門
帰り道では、ここを境にご先祖様は修行者を離れるそうな。
等覚門を過ぎてなお、掌を上向きにすると温かく感じる場合は、危険が迫っているとのサインで注意が必要とのこと。
西の覗
ここでは人様への信頼を養うことが修行の目的だそうな。
個人的に、他の人はここまで落とさないというレベル感で下まで下ろしてもらったそうだが、仲間が支えてくれている安心感があるから、特に怖いことはない。
他の行場で命綱も何もないところの方がよほど危険。
あらん限りの声で叫んだ。
久方ぶりに声が枯れた。
これもデトックスの一環のようだ。
人それぞれ、山先達に言われることも仕上げに唱えてくれる真言も異なる。
浮気をしている人や病気のリスクが高い人はすぐに分かるようだ。
喜蔵院
茶粥を初めていただいた。
下界では美味しいとは思わないのかもしれない。
修行で疲れた心身に染み渡る味。
ここの神崎さんに裏行場をご案内いただくことに。