不動登り岩
先達の言うことをきちんと聞いて手順通りに登れば特に問題はない。
神崎さんは、よく見ると破れた長靴でこともなげに登っていく。
曰く、これが一番滑らなくて良いそうな。
喜蔵院の料理人の方の形見で、今も大事に使っておられるとのこと。
ちなみに、60代には全く見えない肌ツヤと健脚っぷりであった。
胎内くぐり
擬死再生の儀式の場。
正面から入るのは失礼にあたるとのことで、脇にある岩を跨いでから入る。
一部日が差すが、それ以外は足元も見えない暗闇。
産道を通ることを模しているのだろう。
出口で「おぎゃー。おぎゃー。」と言う。
袈裟掛け岩、屏風岩などそれぞれに意味がある岩に囲まれる場所へ。
岩の意味はお聞きしたが、失念してしまった。。。
賽の河原
江戸時代からある仏像が今もある。
石を3つ積んで行く。
よくある賽の河原のようなおどろおどろしい雰囲気はなかった。
天の川
岩の裂け目を天の川に見立てているようだ。
他にもなにか言われがあるようにも思うが、気のせいか。
お亀石
単体で亀のような形をしている。
踏まない。
触らない。
特定のどこかを向いているのだと思う。
背負岩
カルマなど、抱えているものがあると重圧を感じるという。
特に悪い感じはしなかった。
逆にご先祖の想いを背負って生きているのだというポジティブな捉え方をしてはどうだろうか。
お飛び石
鎖がついていて安全に降りられるようになっているが、昭和初期までは道を挟んで隣の岩まで飛んでいたそうな。
大怪我をする人が続出したから鎖をつけたのであろうことは想像に難くない。
東の覗き
西の覗きと違い、安定した足場がなさそう。
現在は使われていないそうだが、いつかは復活させてほしいものだ。
蟻の戸渡り
パッと見、人が通れる場所ではない(笑)
幸いにして晴れていたが、雨でも降ろうものなら相当な危険箇所になる。
先達の指示通りに手足を運ばないとクリア困難かもしれない。
転落防止のロープが下に張り巡らされているが、相当に緊張感を強いられる行場。
平等岩
岩にアプローチするところに建てられてる足場自体がちょっと不安なつくりになっている(笑)
登り始めはさておき、登るにつれて、恐怖感うなぎのぼりである。
岩の突端にしがみついて振り返るのだが、ヤバ過ぎて返って笑ってしまった。
眺めはまさに絶景。
ちなみに、先達が足運びを指示してくれるものの、自分で足場を視認することは不可能。
そこに足場があると信じて踏み出すしかない。
この行を思いついた人は一体どういう思考をしているのだろうか。。。
山を降りてから、友人の行者に「滝が見えたか?」と聞かれたが、先に言ってほしかった(泣)
平等岩をクリアした後に渡る岩場も断崖絶壁。
最後の最後まで気を抜くことができない。
大峯山寺
ようやく安心できる場所に戻ってきた安堵感がある。
本堂にて護摩行。
数珠や財布を煙に晒す。
ありがたいことに秘仏を拝見できた。
役行者の目が追いかけてくるように見える。
拝殿裏には八大童子。
諸仏の像は本堂向かって左。
長福寺の鐘が今も保管されていて、撞くと「帰りたい」といって寂しそうな音がするからという理由で、撞くことはないとのこと。
鉢巻に捺印を受けて、九重守を購入。
お花畑
のどかな雰囲気の開けた場所。
季節によっては花が咲き乱れるのだろうか。
遥かに弥山を眺める。
先達曰く、役行者が、お花畑から見える大岩からはるか向こうの山まで橋を架けろという無理難題を鬼に出して云々という言い伝えがあると教えてくれた。
表行場の来た道を帰る。
これがたった1日の出来事だったとは思えないほど、濃い内容だった。
何せ2回も生まれ変わりの儀式をしたのだ。
これまで経験してきたどのような行よりも禊が進んだように思う。
1300年来の伝統を今に伝えてくださっている洞川の鬼の子孫の皆様に心からの感謝を。
そして、1人でも多くの日本人に行者としての体験をしてみてもらいたい。
もちろん、大峰は初心者向けではないが、自らの命を見つめ直す良い機会になることは間違いない。