占いの由来
有史以来、現在に至るまで人類は意思決定に占いを活用している。
古代であれば、それは神の意思として絶対的な権威を持っていた。
現代においては、表立って言わないだけで、お抱え占い師を置いている政治家や経営者は五万といる。
どんなに考えを詰めてみても、甲乙つけ難い選択をしなければならないケースなど、日常茶飯事。
自分の意思決定に後ろ盾や裏付けがほしいのだ。
気軽なものとしては、様々な雑誌やwebサイトに占いコンテンツが散見される。
世のエスタブリッシュメント層から庶民まで、あまねく人口に膾炙している占い。
かくいう私も易などを多用してきた。
今では趣味が高じて、占いを用いた事業まで運営するようになった。
では、そもそも占いとは何なのか。
あなたは考えたことがあるだろうか?
まずは、漢字から見ていこう。
占いの字を分解すると、「卜」と「口」になる。
まず、卜(ぼく、うらない)とは、亀卜(きぼく)のこと。
大昔、亀の甲羅を焼いて生じたヒビを見て吉凶を占っていたことの象形文字だ。
次に、口とは、もちろん人の口のことである。
白川説では、異なる解釈があるが、ここでは突っ込まない。
つまり、占いとは、卜の結果を神官なり王なりが口にすることで、意思決定がなされることなのだ。
占的(占うテーマ)は多岐にわたったと思うが、いずれにしても、時間や空間や行動を決定していたわけだ。
独占、寡占といった言葉があるように、占いの結果によって、特定の時間や空間が占められる。
これが占いの真髄である。
占いの根拠
占いの本質を明らかにしたところで、もう少しそもそも論にお付き合いいただきたい。
亀卜、易、タロットのような人為が関与するものは、本稿では扱わない。
占星術など、先天的な情報のみで占うことができる種類の占いについて考察する。
いくつかの占いに関して、それは統計学であると言う御仁がおられるが、それは違う。
占いは、統計に基づくものではない。
もし統計であるならば、どこかにそのデータベースがあるはずだ。
しかし、そんなものはどこにも存在しない。
長い年月の間、臨床データ的にデータを蓄積したようなものを少なくとも私は見たことがない。
では、占いの根拠はどこにあるのか。
洋の東西を問わず、誕生日をベースにした占いは、天体の運行にその淵源がある。
東洋の星占いは、実在しない星を扱うものが多々あるが、この場合も実際の天体の運行を大本の根拠としてロジックが組まれている。
当たり前のことだが、人間の肉体はこの星の産物である。
であるならば、肉体が地球の影響を受けているのは当然のこと。
地球が太陽の影響を受けるのもまた当然である。
衛星である月と地球は相互に作用を及ぼしている。
太陽の影響は季節、月の影響は潮汐などを見れば明らかである。
したがって、天体の運行を読み解くことが、自らのバイオリズムを読み解くことにつながる。
人の運気と相関関係がなければ、数千年もの長きにわたり世界各地で星占いが信用される事はなかったであろう。
裏を返せば、天体の運行を知らずして生きていく事は、世間知らずのまま世に出るようなものだ。
大人にもなって社会のしきたりやルールを知らないのは愚か者である。
自然のルールやリズムを知らないからと言って、世間から後ろ指をさされることはないが、知っていた方が賢く生きられることは確か。
そう思って私は種々の占いを研究・実践している。
ちなみに、先程データベースは存在しないと言ったが、集合意識の蓄積は占いの根拠のひとつになっている。
ある天体の配置や星そのものにどのような解釈を与えるのか。
時代が下るにつれ、解釈に解釈が重ねられてきた。
それはある意味ではデータベースと言っても良いのかもしれない。
占いの有効性・必要性
占いは、人間が増長しないために極めて有効だと私は思っている。
人間は自然界のリズム・ルールの支配下に置かれている。
翻って、支配されている存在が、支配者のルールやリズムを無視して生きたらどうなるだろうか。
人間が人間を支配する場合、破廉恥者には懲罰を下す。
自然は人間とは違うので、懲罰といった概念は持ち合わせていないだろうが、お知らせはしてくれるように思う。
そのお知らせとは、タライである。(リンク先の記事を参照されたし)
自らを支配している天体の運行を知らず、横車を押す生き方は実に残念である。
人間、宿命8割、運命2割。
支配される側の存在として、自分が自由にできる範囲が2割もあれば、それはありがたいことではないかと私は観ずる。
自然を観察することで自らの宿命を知り、観察結果(=占い)に従って自らの命の使い道を決める。
これが正しい運命、つまり、命の運用の在り方ではないか。
政治家・経営者など、責任ある立場の人間であればなおのこと。
人様を巻き込むのなら、巻き込まれる他人様が宿命に反した運命を辿らないように采配をとりたいものである。
もちろん、政治家を選ぶことも勤め先も選ぶことも自己責任ではあるのだが。
あなたが経営者であれば、自組織に関して従業員の採用に始まって、全てが自分の責任であることは言うまでもない。
であれば、宿命を知ってより良く差配できるようにしておくことが、その身を助けることは間違いない。
昔から天地人という通り、天の時を知らずして、戦略構築などできないのである。
また、地の利を得るにしても、土地やポジションを占めるのだから、占いが必要なのである。
人の和に関しても同様。
人を見る目というものは、占いの下地が型となって初めて身につくものである。
人間の思い込みは、型無しでしかないのだ。
どのような立場であれ、人間としての身の程を知って、自然にまつろった生き方をしていきたいものである。