白隠禅師はその昔、坊主が寺にこもって悟りを開くよりも、普通の人が普通の生活をしながら悟りを開くほうが百万倍難しい、とのたもうた。
この世の中で最も高度な霊性修行とは、様々な困難の渦巻く中、普通の生活をしながらコツコツと愛を実践することである。
普通の生活をほっぽり出して、朝から晩まで瞑想したり、お題目やマントラを唱えたり、その他の難行苦行をすることが、高度な霊性修行なのではない。
また、そうした特別の修行を通して神との一体感を得たり、少々の宇宙の真理を知りえたとしても、そのような悟りなど所詮大したものではない。
真の聖者とは、宇宙の真理に関してほとんど無知であるにもかかわらず、多くのハンデを背負いながら、市井にあって目一杯他者愛に生きておられる名もなき方たちのことをいう。
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